Column 23 避妊リング(IUD)について

避妊リング(子宮内避妊具:IUD)は避妊の目的で子宮内に装着する器具で、受精卵の子宮内膜への着床を阻害することで避妊効果を得る避妊法です。当院ではマルチロード、ノバT380,ミレーナ(黄体ホルモン放出型IUD)の3種類があります。
IUDは一度装着すれば長期間避妊できるメリットがありますが、デメリットもあります。他の避妊法とよく比較検討してIUDの装着をお決めください。

1)IUDの避妊効果は100%ではありません。
100人の女性が1年間使用して妊娠する可能性が0.6~5人程度あります。

2)IUDの装着に適さない方がいます。
①妊娠の疑いがある
②子宮筋腫や子宮奇形があり子宮内が変形している
③子宮がんの疑いがあるとき など

3)IUDの有害事象
装着時期が適切でないと脱出しやすくなります。
月経開始後10日以内、分娩後は2か月以上たってから装着します。

4)IUDの有害事象
①重大な副作用としては、骨盤腹膜炎(0.8%)子宮外妊娠(0.2%)、子宮穿孔(0.1%)が起こり得ます。
②装着時または除去時に迷走神経反射のため気分不快、徐脈、まれに失神が起こることがあります。てんかんの方はてんかん発作が誘発されることがあります。
③挿入後数日間は少量の出血、軽度の下腹痛があります。
④装着後最初の月経時に自然脱出することがあります。
⑤装着後に月経過多、月経痛が増強することがあります。

5)定期検診
装着後は初回月経後、1か月後、3か月後、6か月後、1年後、またその後も1年に1回は検診を受けてください。

6)IUDの交換
長期間装着したままにすると避妊効果が低下し、また抜去が困難になることがあるので3年(ミレーナは5年)で交換します。

7)IUDの除去(有料)
脱出の兆候が見られるとき、異常出血・腹痛があるとき、感染兆候があるとき、その他医師が除去を必要と認めた時はIUDを除去します。

Column 22 妊娠中・授乳時のワクチン接種について

1)ワクチンにはどんな種類があるの?

ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンは突然変異を起こし、病原性が大幅に減弱した微生物から作成されたもので、ポリオ・麻疹(はしか)・風疹・ムンプス(おたふくかぜ)・水痘(水ぼうそう)・BCGなどがあります。一方、不活化ワクチンは微生物を殺し生体内で増殖できない状態にしたもので、インフルエンザ・日本脳炎・百日咳・破傷風・ジフテリア・肝炎などがあります。

2)妊娠中にインフルエンザワクチンを勧められたが大丈夫?

妊娠中は生ワクチン(麻疹・風疹・ムンプス・水痘・ポリオ)の接種はできませんが、不活化ワクチンは接種のメリットが副作用などのデメリットを上回る場合は接種可能です。これを有益性投与といいます。特にインフルエンザワクチンは有益性が高く、妊娠中の接種が推奨されています。

3)妊娠する前にワクチン接種を受けたいのですが避妊は必要ですか?

生ワクチン接種後は一定の避妊期間が必要です。

風疹・水痘  →2か月
麻疹・ムンプス→4週間

ただしいずれの生ワクチンでも胎児へのリスクは確認されていませんので、もし妊娠に気づかずに生ワクチンを投与しても妊娠継続は可能です。

4)今妊娠中ですが、上の子供にワクチン接種をしてもいいですか?

接種可能です。

5)妊娠中ですが夫が海外勤務になり一緒にいくことになりましたが感染症が心配です。

トラベラーズワクチンで一般的なものは、黄熱・肝炎・破傷風・狂犬病・日本脳炎ワクチンで、いずれも妊娠中は有益性投与です。感染性疾患の多い国に渡航する場合は、専門機関(トラベルクリニック)で予防相談を行うことをお勧めします。

6)授乳中ですが風疹ワクチン接種を受けてもいいですか?

授乳中の生ワクチン・不活化ワクチン接種はいずれも母乳の安全性に影響を与えないので接種可能です。特に風疹・麻疹・水痘は妊婦が発症すると重症化し、胎児への影響も大きいので妊娠前の予防が重要で、授乳期は接種のいい機会です。前回の妊娠中に風疹HI抗体価が16倍以下の場合は出産後早期にワクチン接種をお勧めします。

Column 21 ブライダルチェック

結婚を控えた女性が結婚後の夫婦生活や妊娠・出産に支障がないか、健康状態をチェックするための検査です。

婦人科疾患の早期発見にも役立ちます。検査内容は施設によって若干異なりますが、当院では以下の項目について検査をいたします。検査結果は2週間後に医師よりご説明いたします。

一般血液検査 貧血、肝臓病、腎臓病等のチェックをします。
血液型 通常の血液型以外にも、妊娠時に問題となる不規則性抗体の有無についてもチェックします。
甲状腺機能検査 女性に多い甲状腺疾患をチェックします。
性病検査 淋菌、クラミジア抗原、梅毒、HIV検査
感染症検査 妊娠に影響を及ぼすB型肝炎抗原、C型肝炎抗体、風疹抗体、トキソプラズマ抗体、サイトメガロ抗体をチェックします。
婦人科検診 内診、経膣超音波検査、子宮頸部細胞診により子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん、卵巣腫瘍をチェックします
乳房検診 ご希望の方にはオプションで乳房触診と乳腺エコー検査をいたします。

費用 3,5000円
オプション 乳房検診 3,000円

Column 20 萎縮性膣炎について

閉経後に不正出血やおりもの、かゆみ、陰部の不快感などを訴える患者さんは多いです。その多くは女性ホルモンの欠乏による「萎縮性膣炎」です。

生理がなくなり女性ホルモンが少なくなると膣粘膜上皮の細胞が減少し萎縮します。同時に膣壁からの分泌物、子宮頸管粘液分泌も減少し、膣の潤いがなくなり乾燥感や違和感を引き起こします。萎縮した膣壁はわずかな刺激で容易に出血します。また膣内の乳酸菌が減少するため膣内に雑菌が侵入しやすくなります。

症状は乾燥感、灼熱感、掻痒感、性交痛、おりもの(色がある、においがする)、圧迫感、違和感等で、頻尿、尿意切迫感、繰り返す膀胱炎などの尿症状を伴うことも多いです。

雑菌の侵入を減らすため外陰部を清潔に保つことは必要ですが、日に何度もシャワーを使用したり、石鹸で外陰部を強くこすったり、ビデやウォシュレットで洗い過ぎることは皮膚・粘膜を痛め、かえって症状を悪くします。ジーンズやパンストなど肌に密着する衣服をさけ、空気を通しやすいゆったりした、吸湿性の高い綿の下着などを着用することをお勧めします。

ホルモン不足が原因なので少量の女性ホルモンを補充すれば症状は改善します。女性ホルモンの膣坐薬か内服剤を1~3か月投与します。治療前には子宮がん検査、乳がん検査をお勧めします。また性交障害を改善させる潤滑剤としてリューブゼリーやKYゼリーの使用も推奨されています。

Column 19 月経時の頭痛に悩んでいませんか?

片頭痛は20~40代の女性に多く、30代の女性では5人に1人が片頭痛と言われています。

慢性頭痛の中でも、片頭痛は生活への影響が多い頭痛です。 片頭痛は20~40代の女性に多く、30代の女性では5人に1人が片頭痛と言われています。 片頭痛の発症時期は月経がはじまる11~13歳頃が多く、若い女性の片頭痛の6割が月経と関係しています。

女性ホルモンは月経周期で大きく変動し、特に卵胞ホルモン(エストロゲン)が急激に減ると、セロトニンという脳内物質に影響して頭の血管が拡張し、片頭痛がおこるとされます。そのためエストロゲンが減少する排卵日や月経時に頭痛がおこることが多いのです。また更年期にも女性ホルモンの分泌が低下するため片頭痛がおこりやすくなります。

反対に妊娠中や閉経後では女性ホルモンが安定するので片頭痛は起こりにくくなります。片頭痛時は頭を冷やすことが有効です。冷やすことで拡張した頭の血管が収縮し、痛みを抑えることができます。逆に入浴やシャワーで温めると血管がさらに拡張し悪化します。またチョコレートや赤ワイン、チーズなどが片頭痛の引き金になる場合があり要注意です。

通常の鎮痛薬が効かない片頭痛には、特異的治療として「トリプタン製剤」が使われます。 「トリプタン製剤」は片頭痛の原因となる頭の血管に作用して異常に拡張した血管を収縮させるとともに、脳神経の三叉神経に作用して痛み物質が出るのを防ぎます。

近年では副作用が少なく、より効果が長い製剤も開発され一般の臨床で広く利用されています。月経時の頭痛にお悩みの方はご相談下さい。

Column 18 低用量ピルは安全なの?

安全性についてはOCの長期服用で死亡率に変化がない、あるいはむしろ低くなることが証明されています。

避妊法にはコンドーム、避妊リング、避妊手術など様々な方法がありますが、低用量経口避妊薬(OC)は避妊効果、安全性について最も優れた方法です。安全性についてはOCの長期服用で死亡率に変化がない、あるいはむしろ低くなることが証明されています。

ホルモン剤と癌の関連を心配する人が多いのですが、OCは乳がんのリスクを増加させず、卵巣癌、子宮体癌のリスクはむしろ50%減少させます。またOCには月経症状(過多月経、月経痛)の改善という避妊以外の副効用もあり、その効果を目的に使用する場合は健康保険の適応になります(ただし適応薬剤は2種類のみ)。

一方、重大な合併症として静脈血栓塞栓症のリスク増加(10万人に15~25例程度)があり喫煙者ではさらに心筋梗塞のリスクも増大します。

副作用として内服開始当初は吐き気などの消化器症状や不正出血がありますが、内服を継続するうちになくなります。また「ピルを飲むと太る」という思い込みがありますがそのような事実がないことも証明されています。OC処方に際してはまず問診で禁忌がないことを確認することが必要です。

ヘビースモーカー(1日15本以上)、高血圧症、心房細動、血栓性素因、乳がん、肝障害などある場合は避妊リングなど他の避妊法をお勧めします。また授乳中は原則禁忌となっていますが、WHOの基準によれば6カ月以降は可となっています。OCご希望の方は婦人科専門医にご相談下さい。

Column 17 「サーバリックス」と「ガーダシル」、どちらがいいの?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がん、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマなどを引き起こすウイルスです。

HPVには多くの型があり、子宮頸がんの主な原因となるものは16,18型ですが、他にも発がん性を有する型があります。 また6,11型は尖圭コンジローマの原因となります。

近年子宮頸がん予防を目的にHPVワクチンが開発され、現在16,18型に対する2価ワクチン「サーバリックス」と6,11、16,18型に対する4価ワクチン「ガーダシル」の2種のワクチンが使用されています。

尖圭コンジローマは男女の性器にイボが多発する性感染症で、がん化することはありませんが再発を繰り返し、治りにくい病気です。 「ガーダシル」はコンジローマの予防効果がある点優れています。 しかし肝心の子宮頸がんの予防効果については、必ずしも同等ではないようです。

「サーバリックス」はコンジローマの予防効果はありませんが、子宮頸がん予防に特化したワクチンで、16,18型に対する予防効果持続期間がより長いこと、16,18型以外の発がん性HPV(31,33,45型)に関しても予防効果があることを示すデータがあります。

「サーバリックス」と「ガーダシル」のどちらがいいかは、例えていえばアイスクリーム自体の味をとるか、あるいは上に乗っているトッピングに魅力を感じるか、ということです。 HPVワクチンは本来子宮頸がん予防のために投与するものです。 また「サーバリックス」はすでに340万人以上の日本人に使用され安全性が確認されています。 以上のことより当院では「サーバリックス」をお薦めしています。

Column 16 過活動膀胱症候群をご存知ですか?

最近、尿が近い、夜中に何度もトイレに行き睡眠不足気味、仕事中に急に尿がしたくなって困る、などの症状がありませんか?

それらは過活動膀胱症候群の可能性があります。 過活動膀胱症候群(以下OAB)とは、「尿意切迫を必須とし、通常、頻尿、夜間頻尿を伴う症状症候群」と定義される疾患で、尿失禁を伴う場合もあります。

有病率は40歳以上の日本女性の約15%と推測されます。 加齢にともない骨盤底筋が弱ってくることが主な原因とされますが、原因不明のものも多いです。水分の取りすぎや排尿習慣が頻尿の原因になっていることもあり、1日の排尿状況を記録し(排尿日記)、生活指導を行うこと、また骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操が有効です。

改善しない場合は、抗コリン剤が処方されます。 抗コリン剤には口渇感、便秘などの副作用もありますが、薬剤にはいくつかの種類があり、個々の症状に適した薬剤を選択することができます。 また骨盤臓器脱がある場合は手術によって、尿症状の改善が期待できます。

OABは放置しても生命にかかわる病気ではありませんが、生活の質を著しく阻害します。 羞恥心から誰にも相談できずに一人悩む女性が多く、女性が受診しやすい医療機関の設置が望まれ、女性専門外来が全国に増えつつあります。

当院は女性泌尿器科を専門とする婦人科クリニックで、骨盤臓器脱治療を中心に排尿にかかわる様々なトラブルのご相談に対応いたします。

Column 15 子宮内膜症ってどんな病気?

子宮内膜症は悪性疾患ではありませんが、経過が長く、病状は徐々に進行するので定期的な検診が必要です。

子宮内膜症とは子宮内膜(子宮の内側を裏打ちしている組織)と同様の組織が、卵巣、卵管、子宮表面、骨盤腹膜に発生する病気です。原因には諸説ありますが確定したものはありません。

内膜組織は女性ホルモンの作用で増殖、出血を繰り返し、炎症や周囲組織との癒着をおこします。そのため激しい月経痛や、月経以外でも下腹痛、腰痛、性交痛、排便痛などをおこします。また卵管にも病変が波及すると、30~40%の人が不妊症になります。

卵巣に内膜症が発生すると卵巣内部に血液がたまり、のう胞ができます(子宮内膜症性のう胞)。こののう胞は大きくなると破裂したり、稀に悪性化することがあります。

内診、エコー、MRI、血液検査(腫瘍マーカーCA125測定)等で診断します。治療は薬物療法と手術療法があります。薬物療法には鎮痛剤、漢方薬などで症状を和らげる対症療法と、内膜症そのものに働きかけるホルモン療法があります。

ホルモン療法には低用量ピル療法、偽妊娠療法(中用量ピル)、黄体ホルモン療法、偽閉経療法があり症状により使い分けます。子宮内膜症性のう胞や、卵管閉塞による不妊症の場合は手術療法(腹腔鏡下手術)が選択されます。

子宮内膜症は悪性疾患ではありませんが、経過が長く、病状は徐々に進行するので定期的な検診が必要です。月経痛が強い人は子宮内膜症の可能性がありますので婦人科専門医への受診をお勧めします。

Column 14 更年期障害の治療(2)漢方療法について

更症状が多彩で不定愁訴が強い場合は漢方療法を併用します。

更年期障害の治療の第一選択はホルモン補充療法(HRT)ですが、HRTがすべての症状に有効とは限りません。 症状が多彩で不定愁訴が強い場合は漢方療法を併用します。 また精神症状が強い場合にはカウンセリングやSSRIなどの抗うつ剤が必要な場合もあります。

更年期障害に対する漢方療法には女性の3大漢方と呼ばれる「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遥散」が有効で頻用されます。 体力が低下し、冷え性、貧血症状、むくみがある人には「当帰芍薬散」、体力があり、のぼせて赤ら顔の人には「桂枝茯苓丸」、虚弱体質で疲れやすく、不眠、イライラなどの精神症状がある人には「加味逍遥散」が適しています。

漢方薬の副作用は比較的少ないですが、長期投与では肝機能障害や特異的な副作用(甘草による偽性アルドステロン症、小柴胡湯による間質性肺炎など)も報告されているので注意は必要です。

その他健康食品などの代替医療に関しては、大豆イソフラボン、レッドクローバーイソフラボンについての報告がありますが多少の有効性は認められるものの確実性は低いとされます。

またイソフラボンは女性ホルモン(エストラジオール)と構造が類似しており、大量長期投与では子宮内膜増殖をおこし、子宮内膜癌発生のリスクを高める可能性も指摘されています。

更年期症状が気になる方は婦人科専門医への受診をお勧めします。

Column 13 更年期障害の治療(1) ホルモン療法は安全なの?

更年期障害の薬物治療にはホルモン補充療法、漢方療法、向精神薬療法などがあり、症状によって適切な薬剤を選択します。

更年期障害の薬物治療にはホルモン補充療法、漢方療法、向精神薬療法などがあり、症状によって適切な薬剤を選択します。

ホルモン補充療法(HRT)は文字通り不足した女性ホルモン(エストロゲン)を補う治療法で、有効性が高く更年期障害の第一選択薬です。特にホットフラッシュ、発汗、不眠などの自律神経症状には有効で、骨粗鬆症の予防効果もあります。

HRTのリスクとして、乳がん・子宮内膜癌(子宮体がん)・血栓症の発症率が上昇することが指摘されています。乳がんについては、HRTを5年間続けた場合リスクは1.26倍(1万人中30人発症が38人に増加)に上昇しますが、喫煙による肺がん発症リスクが29倍であることに比べればはるかに低率で、フライドポテトやグレープフルーツを常食した場合のリスクと同程度とされます。

また子宮内膜癌のリスクは黄体ホルモンを併用することによってほとんど0にできます。現在では安全なHRTを行うためのガイドラインが作成され、ガイドラインに従って適応を検討します。

治療開始前には、血圧・体重測定、血液検査、婦人科がん検診、乳がん検診を行うことが勧められています。投与法には持続的投与と周期的投与法があり、薬剤も経口剤、経皮剤があり年齢、症状により使い分けます。治療をご希望の方は婦人科専門医にご相談ください。

Column 12 最近疲れやすいけど更年期障害かしら?

閉経前後5年合計10年間を更年期とよび、この時期には女性ホルモンの低下により様々な症状が出現します。

症状が強く日常生活に支障をきたす場合、更年期障害とされます。
症状は①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他の3つに分けられます。
①では、顔のほてり、のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、動悸、めまいなど、②では情緒不安、いらいら、うつ、不安感、不眠、頭重感など,③では腰痛、関節痛、吐き気、食欲低下、かゆみ、頻尿などがあげられます。

日本人では肩こり、疲れやすい、頭痛、のぼせ、腰痛、発汗などの頻度が高いです。しかしこうした症状は器質的疾患(内臓に病気がある場合など)によってもおこるので、診断は慎重にしなければなりません。

女性ホルモンを測ればすぐに診断できるわけではなく、器質的疾患やうつ病の存在が否定されて初めて更年期障害と診断されます。

治療に当たってはまず一般内科的なスクリーニング検査(貧血検査、肝機能、腎機能検査など)と甲状腺機能検査が必須です。甲状腺機能障害は更年期障害と似た症状が多く、特別な注意が必要です。

Column 11 生理前になると体調が悪くなりますが異常でしょうか?

月経前症候群は我慢してもよくなりません。症状が強ければ産婦人科への受診をお勧めします。

女性の7~8割は月経前に何らかの症状を訴えます。
症状がひどく日常生活に支障をきたす場合は「月経前症候群」とされ治療が必要になります。

月経前3~10日間に乳房痛、お腹が張る、手足のむくみ、頭痛、怒りっぽくなる、イライラ、不安感、憂うつになるなどの症状があり、月経がはじまると症状が消失することが特徴です。

排卵を抑制すると発症しないことから排卵後に分泌される黄体ホルモンが誘因であることは確実ですが、詳しいメカニズムは未だ不明です。規則正しい生活・睡眠、定期的運動、タバコ・コーヒーの制限などが症状の改善に役立ちます。

対症療法としては精神安定剤、利尿剤、鎮痛剤や漢方薬また精神的症状が強い場合は、SSRI(パキシルなど)という抗うつ剤が第一選択とされます。その他低容量ピル(ルナベルなど)やGnRHアゴニスト(リュープリンなど)による排卵抑制も有効です。症状によりその人にあった治療法を選択します。
月経前症候群は我慢してもよくなりません。症状が強ければ産婦人科への受診をお勧めします。

Column 10 カンジダ症をご存知ですか?

梅雨時になるとおりものやかゆみで来院する患者さんが増えてきます。その多くは腟カンジダ症です。

カンジダ菌はもともと腟内に少数常在しているカビの一種(真菌)で、通常は病原性が弱いのですが、疲労、病気などでからだの抵抗力が低下した時、妊娠中、抗生剤服用時、また高温多湿の環境下(パンスト、ジーンズ着用時など)で病原性が発現します。

典型的な症状としては、白いクリーム状でカッテージチーズ様、酒かす様の粒々が混ざったおりものが増え、外陰部が赤くはれて、かゆく(あるいは痛がゆく)なります。ビデによる腟内洗浄や外陰部の石鹸洗浄は症状を悪化させます。また性行為によって女性から男性に感染しますが、お風呂で感染することはありません。

治療は抗真菌剤の腟座薬・クリームを使用します。ステロイド軟膏は外陰部の炎症症状が強い場合に短期的に使用しますが、漫然と使用すると増悪するので注意が必要です。

難治性のもの、再発を繰り返すものでは他の原因菌の検索や糖尿病の検査も必要です。 市販の薬剤で治ることもありますが、症状が改善しない場合は医療機関への受診をお勧めします。

Column 9 乳がん検診を受けていますか?

マンモグラフィとエコー、どっちがいいの?

乳がんの検査法にはマンモグラフィ(MMG)と超音波検査(エコー)があります。 どちらも長所短所がありますが、精度管理がしやすいこと、乳がん死亡率減少効果が証明されていることから集団検診にはMMGが採用されています。

MMGは、まだしこりになっていない早期がんの特徴的な症状である石灰化像(白い点の集まりとしてレントゲンに映ります)の発見に優れていますが、乳腺組織が豊富な若い女性では乳房全体が白っぽく映るので石灰化像が判読困難になり診断率が下がります。

一方、エコー検査は乳腺組織が豊富な場合に有利ですが、石灰化像がエコーでは映らないので、しこりがない早期がんの検出には不向きです。したがって乳腺の厚みによって年代ごとに検診方法を変えるのが合理的です。

30代はエコーを優先し、必要ならばMMGも施行。40~50代は乳がん年齢なのでMMGを優先し、エコーも併用。60代は乳腺が委縮し、脂肪に変わるためMMGだけでも十分です。検診頻度は2年に1度ですが、血縁に乳がん罹患者がいる場合や乳がん年齢の方は毎年受診してもよいと思います。

当院では6月からデジタルマンモグラフィを導入し、横浜市乳がん検診希望者を対象にマンモ検診を開始します。検査は女性放射線技師が実施します。ご希望の方は電話でお問い合わせ下さい。

Column 8 乳がん検診を受けていますか?

日本人の乳がん患者は年間4万人で欧米に比べ少ないのですが今後増加が予想されます。

乳がん検診受診率は20%程度と極めて低く厚労省では受診率50%を目標に啓蒙に努めています。検診は視触診のみでは効果がなく、マンモグラフィ併用ではじめて死亡率が減少することが証明されています。

マンモ検診で異常が見つかる確率は1000人中50人で、精密検査としてさらに超音波検査や細胞・組織検査を行い、うち3~4人が乳がんと診断されます。なおマンモグラフィの被ばく量は通常生活で1年間に受ける自然の放射線量の50分の1程度で、体への影響はほとんどありませんのでご安心ください。

横浜市の公費乳がん検診では、問診、視診、触診およびマンモグラフィを40歳以上の方を対象に施行しています。受診者負担額は1370円で、70歳以上の方、クーポン券持参の方は無料です。

当院では6月から最新のデジタルマンモグラフィを導入し、横浜市乳がん検診ご希望の方を対象に検診を開始します。 検査は女性の放射線技師が実施します。ご希望の方は電話でお問い合わせ下さい。

Column 7 乳がん検診を受けていますか?

乳がんは小さいうちに発見して適切な治療を行えば、90%以上が治ります。

欧米では乳がんの発症率が増加している一方、死亡率はむしろ減少しています。
それは欧米の検診受診率が高く、早期がんが多く発見されるようになったためです。

このように検診の有効性は証明されており定期的な検診が推奨されていますが、欧米に比べ我が国の検診受診率はかない低いのです。乳がんは30代から増え始め、40代後半で最も発症率が高くなります。そのため30歳からの自己検診と40歳からのマンモグラフィ検診が推奨されています。
マンモグラフィとは乳房専用のレントゲン検査のことで、視診や触診だけではわからない早期のがんを発見するのに有用です。

横浜市の公費乳がん検診では、問診、視診、触診およびマンモグラフィを横浜市在住の40歳以上の方を対象に2年に1回施行しています。受診者負担額は1370円で、70歳以上の方、クーポン券持参の方は無料です。

当院では6月から最新のデジタルマンモグラフィを導入し、横浜市乳がん検診ご希望の方を対象に検診を開始します。検査は女性の放射線技師が実施します。
4月から電話予約を開始しますが、計画停電実施中のため予約日が変更になる場合もあります。
予めご了承下さい。

対 象: 横浜市乳がん検診ご希望の40歳以上の方
             ※40歳未満の方は視触診とエコー検査となります(自費)

検査日: 毎週土曜日午後2時30分~5時

Column 6 子宮筋腫は切らずに治せるの?

手術が必要な筋腫もありますが、良性腫瘍なので基本的には保存的治療とします。

子宮筋腫は性成熟期女性の20~30%にみられる良性腫瘍で、大きくなると過多月経、貧血、月経痛などをおこしますが、閉経後は自然に退縮して治ります。

手術が必要な筋腫もありますが、良性腫瘍なので基本的には保存的治療とします。
薬物療法としては、まず造血剤、鎮痛剤、漢方薬、ピルなどを試みます。
それらの効果がない場合はダナゾールやGnRHアナログを使用したホルモン療法を開始します。ダナゾールは男性ホルモンの一種で肥満や男性化傾向の副作用のため最近はあまり使われなくなりました。

GnRHアナログの点鼻薬(連日使用)あるいは月1回の皮下注射で一時的閉経状態にする偽閉経療法は月経に伴う症状の改善、筋腫縮小に有効で頻用されていますが、効果持続期間が6か月と短いこと、更年期障害や骨粗鬆症などの副作用があることが欠点です。

「ミレーナ」は黄体ホルモンを付加した避妊リングを子宮内に挿入する新しい治療法で、微量の黄体ホルモンが子宮内に持続的に放出されることにより子宮内膜を委縮させ過多月経を改善します。

やや高額ですが1回の治療で5年間有効なこと、排卵が抑制されないので偽閉経療法のような更年期障害がおこらないことが利点です。また薬物療法以外の保存的治療として子宮動脈塞栓術、収束超音波手術などありますが治療費は大変高額で、効果についての評価はまだ確定していません。

このように子宮筋腫の治療法は多種ありますが、筋腫の性状、年齢、妊娠希望の有無など種々の条件から患者さんそれぞれ個別化して、その人に適した治療法を選択することが大切です。

Column 5 妊娠中も風邪薬は飲めるの?

妊娠中の服薬、休薬については産婦人科専門医にご相談することをお勧めします。

一般に「妊娠+薬=奇形児」というイメージがありますが実際には先天異常の原因として、
薬剤が占める割合はわずかです。

異常をおこすことが明らかな薬は限られており(サリドマイド、ワーファリン、アルコールなど)、妊娠中も安全に使用できる薬は多いのです。むしろかぜによる高熱や咳は流早産を予防するためにも治療すべきです。

特に妊娠中のインフルエンザに対しては抗ウイルス剤(タミフル)を服用して重症化を避けることが産婦人科学会で推奨されています。

妊娠中の服薬についてのポイントは、

1.必要量を短期間、できるだけ単剤(1種類)で服用。
2.妊娠4週4日以前に服用した薬は催奇形性という意味では胎児に影響しない(all or noneの法則)。
3.妊娠4週5日~7週6日は胎児への影響が大きいので十分な配慮が必要
4.妊娠3か月~4カ月は胎児への影響は少ない。
5.妊娠5カ月以降は胎児奇形への影響はない。
6.男性に投与された薬は胎児には影響しない(チガソンなど例外的な薬もあります)、などです。

また妊娠以前から服用していた薬を妊娠後すぐに中止すると症状が悪化し、胎児に悪影響を及ぼす場合があるので(喘息、てんかんなど)注意が必要です。

妊娠中の服薬、休薬については産婦人科専門医にご相談することをお勧めします。
詳細な情報を希望される方は国立成育医療センターのホームページに「妊娠と薬情報センター事業」のサイトがありますのでご利用下さい。

Column 4 女性の不正出血について

40代の性交後出血は子宮頚がん、閉経後の不正出血は子宮体がんを強く疑う症状です。

生理が終わったばかりなのにまた出血が始まった、下着に血がついていてびっくりした、
知らないうちに血が出ていた、セックスのあとに出血したなどの経験がありますか?

こうした月経以外の出血を不正出血と呼び、原因別に①ホルモン異常による「機能性出血」、②腫瘍や炎症による「器質性出血」、③妊娠に関わるものの3つに大別されます。

出血の主な原因は世代ごとに異なります。
機能性出血は思春期と更年期に多く、そのほとんどが無排卵にともなう出血です。

20~30代では妊娠に関わるもの、40代では子宮筋腫などの良性腫瘍や炎症による器質性出血、また老年期では膣・外陰部の萎縮による出血が多くみられます。

不正出血の診断にはまず妊娠の有無を確認し、次いでエコー検査、子宮細胞診、ホルモン検査などを施行します。ホルモン異常が疑われる場合は基礎体温表の記録が診断に役立ちます。

特に40代の性交後出血は子宮頚がん、閉経後の不正出血は子宮体がんを強く疑う症状です。
気になる出血があれば早めに婦人科受診をすることをお勧めします。

Column 3 骨盤底を鍛えましょう

骨盤臓器脱予防のため出産後や更年期の女性には骨盤底筋体操をお勧めします。

骨盤底は筋肉・靭帯・筋膜で構成される組織で、骨盤内の臓器(子宮、膀胱、直腸)をハンモックのように下から支えています。 妊娠や出産は骨盤底に大きな負担をかけ、この時のダメージが女性ホルモンの減少する閉経期に表面化してきます。

女性ホルモンの減少は骨盤底組織の弾力を低下させ、緩んだ骨盤底は臓器を支えきれなくなり膣のほうに押し出されてきます。 これが「骨盤臓器脱」という病気です。

最初はおなかの中が下がった感じ程度ですが、進行すると股の間に何か挟まった感じがしたり、股からピンポン玉のようなものが出てきます。 またしばしば尿失禁、頻尿、排尿困難などを伴い、日常生活に支障を来すようになります。

出産を経験した女性の11%に外科的な治療が必要な臓器脱がおこるとされます。
軽度の臓器脱では骨盤底を強化する「骨盤底筋体操により症状の改善が期待できます。 また女性ホルモンを併用すると体操の効果は増加します。

骨盤臓器脱予防のため出産後や更年期の女性には骨盤底筋体操をお勧めします。

Column 2 生理痛は我慢しないで

生理痛に悩んでいませんか?

アンケート調査によると女性の3人に一人は、生理がつらいと感じています。
生理痛の原因は、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジン(PG)という物質が引き起こす、子宮筋の過剰収縮です。特に排卵後の子宮内膜は厚く、PGの産生量も多く、痛みも増強します。

排卵がない初経から数年は生理痛はなく、思春期になって排卵が始まると痛みが出現します。
月経時に痛みがあるのは大人になってきた証拠ともいえます。しかしPG産生量や子宮筋の感受性には個人差があり、強烈な痛みのため日常生活に支障を来す程度になる人もいます。また子宮内膜症や子宮筋腫があるとさらに痛みは増強します。生理痛はほっておくと益々ひどくなります。

治療はPG産生を抑える非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)が第一選択で、痛みが強くなる前から服用し、月経終了まで定期的に内服します。骨盤の血のめぐりをよくする漢方薬の併用も有効です。

NSAIDsが無効の場合や消化器症状の副作用がある場合は経口避妊薬(OC:ピル)を使用します。
OCは排卵を抑制し、子宮内膜の増殖をおさえ、PG産生を減少させることで生理痛を軽減させます。

最近低容量ピルが生理痛の治療に健康保険で投与できるようになり、治療の選択肢も増えました。
生理痛は治せます。我慢しないで最寄りの医療機関にご相談することをお勧めします。

Column 1 婦人科がん検診について

身体の自己管理と健康増進のために、婦人科がん検診を役立てましょう!!

婦人科がん検診の対象となる子宮頸がん、子宮体がん、乳がんは早期発見と早期治療で完治可能ながんです。したがって検診の有効性は高く、定期的な受診が推奨されています。

特に子宮頸がんは近年急速に若年化していること、HPVワクチンでがん予防が可能になったこと、また早期に発見されれば子宮を取らずに治療できることから20代での受診が推奨されています。

現在子宮がんは20歳、乳がんは40歳から、2年おきの検診が公費負担で受けられます。
検診の内容は、子宮がん検診では内診と細胞診、乳がん検診では触診とマンモグラフィです。
(今までは他施設を紹介していましたが、平成23年6月から当院でマンモグラフィが受けられるようになりました)。

無料クーポン券持参の方、および70歳以上の方は無料で受診することができます。
検診時に異常が指摘された場合は保険診療に切り替えエコー検査等施行しますので、保険証は必ずご持参下さい。

定期的な婦人科がん検診は、がん以外の婦人病(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など)の予防や早期発見にも有用です。身体の自己管理と健康増進のために、是非婦人科がん検診を役立てていただきたいと思います。

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受付・診療時間のご案内

午前-09:00~12:00
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休診日: 水曜日・日曜日・祝祭日
※土曜日午後の診療は要予約

未成年の方の初診時には、保護者の同伴をお願いしております。

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