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萎縮性膣炎・
閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)

閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)とは

閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)とは閉経前後の女性で、女性ホルモン(エストロゲン)低下に伴い腟や外陰部の乾燥、痒み、灼熱感、性交痛、性機能障害、排尿障害などがみられることを、閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)という概念が近年広まってきています。外陰部および腟の症状に関しては従来、萎縮性腟炎とされてきた症状です。

GSMの症状

GSMの症状は、外陰・腟の症状、性機能障害、泌尿器症状の大きく3つとされます。
外陰・腟の症状として、かゆみや乾燥感、灼熱感、出血、おりものの臭いなどの不快感での受診が最も多いです。性機能障害として、性交渉時の疼痛や出血が出現することがあります。泌尿器症状では、頻尿や残尿感、繰り返す膀胱炎などが挙げられます。
これらの症状は、なかなか他人へは言いづらいものではありますが、日常生活に大きな支障をきたすため、適切な診断と治療により改善が見込めます。

GSMの原因

主な原因は、加齢に伴い女性ホルモンの分泌が減少することによる様々な変化です。これにより、膣内の常在菌(ラクトバチルス)が減少し、膣内環境が悪くなることで雑菌が増え、おりものが増えてしまいます。女性ホルモンの減少により、粘膜が弱くなり、不快な症状が出現すると考えられます。

膣炎や性交痛の原因にも

粘膜の状態が弱くなってしまうことで、腟炎や性交渉時の疼痛、出血、違和感の原因となることもあります。
お悩みの方は一度、当院までご相談ください。

20代・30代で
GSMになる場合も

20代・30代でGSMになる場合も閉経を迎える更年期前後に多く発症がみられるのが特徴ですが、低用量ピルを長期的に服薬している若い年代でもGSMを起こすことがあります。また、産後にエストロゲンが急激に減少した後や、乳癌などのホルモン治療で女性ホルモンを低下さている場合にも症状がでる可能性があります。

GSMの診断

検査時は、内診台で膣内や外陰部の状態を観察し、お困りの症状と実際の所見が一致するかどうかを確認する必要があります。おりものが気になる場合は、培養検査のため採取することもあります。1週間程で検査結果が分かります。また、性器出血がある場合は子宮体がんや子宮頸がん検査を実施し、悪性所見の有無を診断します。

GSMの治療方法

軟膏の塗布

一般的に行われるのがステロイド軟こうの塗布です。ステロイド軟膏は、一時的には改善しますが、長期的に連続して塗布する際は注意が必要です。
細菌性膣炎を併発している場合は、抗生物質軟膏剤や膣錠なども用いて治療します。

膣内洗浄

女性ホルモン(エストロゲン)分泌が低下することで、膣の常在菌が減少し細菌性膣炎を起こすことがあります。この場合、膣内洗浄を行い、細菌の除去治療を行います。

抗生物質投与

膣内の細菌の数を減らして、原因菌に適した抗生物質を膣内に入れます。

女性ホルモン投与
(局所的・全身的)

局所的投与

女性ホルモンの低下が萎縮性膣炎を引き起こします。外陰・腟の症状の強い方へは、膣内への投与が最も効果的とされます。

全身的投与

GSM以外の更年期症状でお困りの場合など、全身投与が必要と判断された場合、女性ホルモンの内服治療、塗り薬、貼り薬による治療を行います。投与経路による効果には特に差がありません。

難治性の場合
(膣内・外陰部レーザーモナリザタッチ)

基本的には上記の治療を進めることで症状が改善しますが、膣の萎縮が強い場合、痛みや痒みがつらい場合は膣レーザーのモナリザタッチを用いた治療を行います。炭酸ガスレーザーを患部に照射して、上皮細胞分裂を促し、コラーゲン繊維の再生を促進させます。自費診療となります。(現在当院では施術できません。)

セルフケア

まずは日々のセルフケアが大切です。洗浄した清潔な状態で保湿をすることです。外陰部や膣の違和感や嫌な臭いがある場合には、特に重要です。また、トイレでのウォシュレットを頻繁に使う方も、使用後の保湿は非常に大切です。当院では、「エビネジェル」を処方しております。保湿効果が高く、使用感も良いため好評です。

GSMのチェックリスト

以下の項目に当てはまる場合は、GSMの可能性があります。早めに受診されるのをお勧めしております。

  • 不正出血が起こる
  • 膣の違和感がある
  • 膣や外陰部に違和感や痛みがある
  • 膣や外陰部に熱感がある
  • 外陰部が痒い
  • 嫌な臭いのおりものが出る
  • 膿のように黄色や褐色のおりものが出る
  • 性行痛がある
  • 性行時の出血がある
  • 排尿痛がある など

よくある質問

薬は市販薬と同じですか?
どのような薬を処方してもらえますか?

主に、女性ホルモン補充薬を処方します。萎縮性だけでなく細菌性膣炎を合併している場合は、抗生物質を用いた治療を行います。膣炎など異変がある場合は、早めに受診してください。

診察の際は内診がありますか?

お困りの症状と、実際の所見が一致するか確認するため、内診台で患部を観察する必要があります。内診を行う際は、力を入れたりせずにリラックスした状態で受けていただけるとすぐに終わることができます。痛みを最小限にできるよう配慮いたしますのでご安心ください。