Column14|
更年期障害の治療(2)漢方療法について
症状が多彩で
不定愁訴が強い場合は
漢方療法を併用します。
更年期障害の治療の第一選択はホルモン補充療法(HRT)ですが、HRTがすべての症状に有効とは限りません。 症状が多彩で不定愁訴が強い場合は漢方療法を併用します。 また精神症状が強い場合にはカウンセリングやSSRIなどの抗うつ剤が必要な場合もあります。
更年期障害に対する漢方療法には女性の3大漢方と呼ばれる「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遥散」が有効で頻用されます。 体力が低下し、冷え性、貧血症状、むくみがある人には「当帰芍薬散」、体力があり、のぼせて赤ら顔の人には「桂枝茯苓丸」、虚弱体質で疲れやすく、不眠、イライラなどの精神症状がある人には「加味逍遥散」が適しています。
漢方薬の副作用は比較的少ないですが、長期投与では肝機能障害や特異的な副作用(甘草による偽性アルドステロン症、小柴胡湯による間質性肺炎など)も報告されているので注意は必要です。
その他健康食品などの代替医療に関しては、大豆イソフラボン、レッドクローバーイソフラボンについての報告がありますが多少の有効性は認められるものの確実性は低いとされます。
またイソフラボンは女性ホルモン(エストラジオール)と構造が類似しており、大量長期投与では子宮内膜増殖をおこし、子宮内膜癌発生のリスクを高める可能性も指摘されています。
更年期症状が気になる方は婦人科専門医への受診をお勧めします。