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月経移動

月経移動とは

月経移動とは生理予定日をホルモン剤の使用によってコントロールすることができます。大切な試験の日やイベントなどと生理が重ならないように、移動できます。ホルモン剤とは、低用量ピルや中用量ピルを指します。大切な試験日や結婚式、旅行などと生理が重なることを回避できます。
また、月経移動には、大切なイベントの前に生理が来るように早める方法と、イベントの後に来るように生理を遅らせる方法があります。

使用するホルモン剤について

月経移動に使用するホルモン剤は低用量ピルと中用量ピルです。この女性ホルモン剤を短期間だけ使用することで、生理を移動できます。
生理を遅らせるか早めるかによって使用する種類や時期が異なります。診察時にそれぞれの使用方法や注意点などについてご説明します。

生理を早めたい場合

生理予定日よりも早めたい場合は、早めたい生理の1つ前の生理が開始した時から低用量ピルを服用します。10日間以上は服用し続けます。
本来の生理予定日の10日前にピル内服を止めると、その2日後程で消退出血が起こります。前回の生理より約2週間程で軽めの生理がきます。

低用量ピルで
生理を早める場合の具体例

ひとつ前の生理から服用し始めます。(生理初日~5日目まで)
服用を止めると2~3日で生理が軽く来ます。
本来の生理予定日には生理が来ません。

中用量ピルで
生理を早める場合の具体例

前の生理とは関係なく本来の生理予定日の20日前までに服用を開始します。
10日目で内服を止めると2日後に消退出血が起こり、本来の生理予定日には生理は止まります。

生理を早める方法の
メリット・デメリット

生理を早める場合のメリットは、大切なイベント当日は生理をずらせて、かつピルを内服しなくても良いという点がメリットです。
遅らせる場合は、ずらしたい当日もピルを内服する必要があります。
ただし、生理を早めようと計算して内服し始めたのに、生理が待っても来ず、当日にかかってしまうことがあります。月経移動については、医師としっかりと相談しながら行ってください。

生理を遅らせたい場合

ずらしたい生理開始予定日の5日前から中用量ピルを服用し始めます。服用期間中は、本来の生理予定日になっても生理は来ません。
内服を止めて2日程で消退出血が起こります。これが軽めの生理ですが、最大10日程度まで遅らせることができます。
遅らせる場合は、イベント中はピルを服用し続けます。

中用量ピルで
生理を遅らせる場合の具体例

生理の5日前から中用量ピルを飲み始めます。内服中は生理を止めることができます。本来の予定日から10日程が目安ですので、それを過ぎるとピルを飲み続けていても生理は来ます。

生理を遅らせる方法の
メリット

大切なイベント当日中も正しくピルを内服すれば、確実に生理を遅らせることができます。
急に予定が決まっても、本来の生理予定日の1週間前までにご相談いただければ対応可能です。

月経移動の副作用について

月経移動における副作用は特別ありません。ピルの内服を止めた数日後には消退出血が起こります。次回の生理も本来の生理周期で再度来ます。ただし、ピル内服に際し、頭痛や吐き気など軽度の副作用が現れることがあります。これは、生理を早める場合も遅らせる場合も同様です。

血栓症
(深部静脈血栓症)

深部静脈血栓症とは、ふくらはぎなどの深部静脈に血栓ができる状態を指します。血栓ができると静脈が詰まってしまいます。車や飛行機内で長時間同じ姿勢で座るとできるため、別称エコノミークラス症候群とも呼ばれます。ふくらはぎの静脈が詰まると、血液が心臓まで戻れずにふくらはぎに痛みや浮腫みが生じます。これを適切な治療を行わず放置し、血栓が心臓や肺まで飛ぶと血管が詰まって命に関わる深刻な事態へと陥ります。その他の症状は、以下の通りです。

  • ふくらはぎの痛み・浮腫み・痺れ感
  • 胸部の痛み
  • 鈍い胸痛・突然の息切れ
  • めまい・激しい頭痛・失神
  • 視覚障害・聴覚障害 など

このため、ピル内服中に上記のような症状が現れた場合は、ただちにピルの内服を中止しますので、速やかに受診してください。

なお、旅行中で受診が難しい場合は、お近くの婦人科や循環器内科などをご受診ください。

ピルを処方できないケース

当院では、血栓症などの深刻な事態を考慮し、以下の項目に該当する方にはピルの処方を実施しておりません。

  • 35歳以上で喫煙習慣のある方(15本/日以上)
  • 前兆のある頭痛がある方
  • 高血圧の方
  • 高脂血症の方
  • 糖尿病で血管病変のある方
  • 血栓症や心血管疾患になったことがある方
  • 乳癌治療中の方 など

ピル処方時の確認項目

当院の診療時には、以下の3点についてお伺いしております。女性ホルモン剤の処方において重要な項目ですのでご確認ください。

  • 最後の生理開始日
  • 次回の生理開始予定日

  • 生理をずらしたい日にち(予定当日)

上記をもとに、内服スケジュールを計画していきます。
女性ホルモン剤を使用する上でご不安な点や心配なことがある場合は、お気軽にご相談ください。