外陰部のできもの・しこり
外陰部に異物感や違和感など、何らかの症状がある場合は疾患が原因であることが多くあります。外陰部の痛みや腫れ、排尿時の痛み、性交時の痛みなどの症状にお悩みの方は、遠慮なく当院までご相談ください。
外陰部にできものや
しこりがある場合に
考えられる病気
バルトリン腺のう胞・
バルトリン腺腫瘍
外陰部周辺のバルトリン腺に粘液が溜まった袋が詰まっている状態です。
バルトリン腺は、性交時の潤滑液となる分泌液を出す作用がありますが、そのバルトリン腺が詰まると、外陰部が腫れるバルトリン腺のう胞や、炎症を起こすバルトリン腺炎を発症します。
原因
バルトリン腺が細菌感染を起こし、増殖するためです。
症状
- 腫れた箇所が痛む
- 膣口付近にしこりができる
- 歩いた時に不快感や異物感が起こる
- 発熱する
治療方法
抗生剤を使用して治療を行います。膿がたまっている場合は、切開・排膿を行います。再発を繰り返す場合は、開窓術や造袋術といった外科的な治療を要する場合もあります。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染して発症する性感染症です。一度かかるとウイルスは潜伏したままのため、免疫力や抵抗力が下がった時に再活性化し、再発します。
原因
性行為が原因で感染します。
症状
- 排尿時の痛み
- 外陰部の強い痛み
- 発熱・頭痛
- 外陰部の潰瘍や水膨れ
治療方法
抗ウイルス剤を使用して治療を行います。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス感染によって発症する性感染症です。約3ヵ月の潜伏期間を経て発症します。
原因
性行為が原因で感染します。
症状
- 外陰部の痒み
-
腟~外陰部、肛門にイボが出る
- 性交時の痛み
治療方法
塗布薬を使用した治療を行います。それでも改善しない場合は、切除手術を検討します。
尿道カルンケル
尿道出口に潰瘍ができます。乳頭状の腫瘍ができるのが特徴です。主に、更年期以降の女性に多く確認できます。
原因
特定できる原因が分かっていません。
症状
- 尿道出口の痛み
- 尿道出口の痒み
- 腫瘍から出血
- 下着に血液が付く
治療方法
基本的には加齢による変化であるため治療は不要です。
炎症が強い場合や、排尿に支障のある場合は治療を考慮します。炎症に対してはステロイドや女性ホルモンの軟膏を塗布し、巨大なものや排尿障害のあるものは外科的に切除が必要になります。
おりもの異常
おりもの(帯下)とは
膣や子宮から膣外へ流れ出る分泌物を、おりもの(帯下)と言います。おりものは、雑菌の繁殖や侵入を防ぐ作用があるため、健康維持の上でも重要な役割を担っています。
強いストレスを感じた場合や、抗生物質を用いて病気治療を行っているなどの場合は、おりものが増えることがあります。また、月経前や妊娠中も増えますが特別な異常はありません。
正常なおりものは?
正常なおりものは、透明もしくは白っぽい色で、臭いはほとんどありません。また、少し酸っぱい匂いがすることがありますが、問題はありません。
おりものの
「量」「におい」「色」などから
考えれられる病気
におい | かゆみ | 特徴や色 | |
膣トリコモナス症 | あり | あり | 泡立つ |
子宮がん、細菌性膣炎 | あり | なし | 濃い黄色、緑 |
膣カンジダ症 | なし | あり | 白く、ボロボロ |
クラミジア、淋菌 | なし | あり | 黄緑、茶色 |
排卵期 | なし | なし | 透明、トロッとしている |
生理前 | なし | なし | 白色、クリーム色 |
子宮頸がん、ポリープ | なし | なし | 赤色、茶色、血液様 |
日常生活の中での原因によって
起こるおりものが変化
おりものの量が増える、痒みが出るなどの症状には様々な原因があります。性感染症だけではなく、以下のような原因があります。
蒸れ
下着の内側が蒸れると膣内の環境も悪化します。
過度の洗浄
膣内を過度に洗浄すると、自浄作用が低下してしまいます。
おりものシートやナプキンの
長時間使用
おりものシートやナプキンを長時間使い続けることで蒸れてしまいます。
過度なダイエットや体調不良
ダイエットや多忙などによる疲労によって免疫力が低下すると、雑菌が繁殖しやすくなります。
おかしいなと思ったら…
下記を目安に受診を
以下のようなおりものの異常を感じたら、受診をお勧めします。
- おりものの出る量が増えた
- おりものの臭いがきつくなった
- おりものの色が気になる
- 外陰部が痒い
- おりものがボロボロしていつもと違う
- 下腹部が痛い
- 生理ではないのに出血がある
- 排尿時や性交時に痛む など